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鈴木 和宏

【インタビュー】小野卓弥先生に聞く「ケトルベルとストロングファーストとは」

By | インタビュー, お知らせ | 2025/03/19 | No Comments

先日、澤田伸大・鈴木和宏がStrongFirst(以下SF)のケトルベルインストラクターの資格を取得いたしました。

SFは世界的に権威のあるトレーニング団体で、米軍特殊部隊やプロアスリート、オリンピック選手にもそのメソッドが導入されています。
しかし、日本においては、まだ認知度が低いのが現状です。

そこで今回、皆さんにケトルベルとSFについてより深く知ってもらうべく、ケトルベルインストラクターとして10年以上ご活躍されている、おの整骨院、院長の小野卓弥先生にお話を伺いました。

小野先生、よろしくお願いします。まずは経歴と自己紹介をお願いいたします。

よろしくお願いします、小野卓弥です。
現在55歳で、アスリートでいうと柔道家の吉田秀彦選手と同い年になります。

元々はサッカー少年だったのですが、プロレスラーに憧れたことがきっかけで、高校から柔道を始めました。運動神経が良いほうではなかったのですが、柔道ではそれなりに結果が出たこともあり、卒業後は法務省の刑務官として働いていました。機動警備隊に所属していたこともあります。

そこからは医療の道を志すために一度退職し、29歳の時に柔道整復師の国家資格を取得しました。専門は骨折・捻挫・脱臼などの外傷で、現在は独立して21年目になります。
JOC(日本オリンピック委員会)管轄のスポーツ競技会の医務としても、これまで30回以上活動しています。

その中で、ケトルベルに携わるきっかけとなったのは、自身のオーバートレーニングによる身体の故障です。元々はフルスクワットで240キロを上げるほど追い込んだトレーニングをしていたのですが、ある日教科書に載るような肩の大怪我を負ってしまいました。

一時期は柔道で国体の強化選手を経験したりもしましたが、そこからは肩の脱臼を繰り返す状態となってしまいました。これまで30回以上、完全脱臼をしてしまったと思います。

そこからは、自分の現役生活はもう無いものだと思い、新しいトレーニングの発掘に興味を持っていました。。そしてそこで、偶然ケトルベルと出会いました。

最初は、もう身体が壊れてしまってもいいという気持ちで取り組んでいましたが、逆にどんどん調子が良くなっていきました。
その後も継続して取り組みを続け、2014年に初めてインストラクター資格試験に合格し、6度更新して現在に至ります。

ありがとうございます。ではまずは改めて、ケトルベルとは何か教えていただけますか。
具体的に、何が鍛えられるトレーニング器具なのでしょうか。

ケトルベルとは、鉄の球体にハンドルを付けたもので、ロシアが発祥です。
旧ソ連崩壊後アメリカに渡った、後のSF創始者パベル・サッソーリンによって世界中に広められました。

ケトルベルは、ボディビルトレーニングのような、特定の筋肉を大きくするために用いる道具ではありません。

全身を使い、「力を発揮する練習」をするためのものです。

SFではケトルベルを振り上げた瞬間、全身を固めて、テンションを作ります。
つまり、これは1回の力の出力を上げるテクニックを習得するということなんです。

とは言え歯を食いしばって全力でやるものではなく、コントロールしながら60〜80%の高い出力をキープするなど、まさにブラジリアン柔術の競技に直結する効果が得られると思います。

これにより、心肺機能を上げ、骨を強くするという効果もあります。

一般的なウェイトトレーニングと違うのは、ケトルベルは振ったとき、一瞬浮遊している時間があるという事です。そのため、実は関節の負担も少ないというメリットもあるんですよ。

筋肥大が主な目的ではないんですね。お話を聞くと、階級別競技との親和性がとても高いように思えます。
また、高い出力をキープするという点も、試合時間が長いブラジリアン柔術と非常に良くマッチしていますね。

ケトルベルと言っても、様々な種目があると思います。
これから本格的にケトルベルを始める人は、まず何に取り組むべきでしょうか。

やはり両手でケトルベルを振るツーアームスイングです。
両手で加速をつけることにより、扱い方によってはケトルベルの重量の10倍のパワーを引き出すことが出来るという研究結果もあるんです。

つまり、24キロのケトルベルであれば、理論上240キロの出力を出すことも可能です。身体がその出力を覚えることで、様々な動作やトレーニングが楽になります。

スイングであればわずかな場所があれば出来ますし、覚えるのにもそんなに時間がかからない。短時間で心拍数も上げられるし、頭上に上げないので、怪我のリスクも少ないです。

とにかく、タイパ・コスパが良いです。もし1種目だけ選べと言われれば、このツーアームスイング。これだけやればいいと言ってしまっても良いでしょう。

場所を取らないので自宅に置くこともできますし、時間がない人でもスイングだけであれば取り組むことが出来そうですね。

ただ、独学で取り組んで怪我をしたという声もよく聞きます。
初心者が陥りやすいミスとして、スクワットのような動作で上下に振ってしまうというパターンが多いと思うのですが、それにはどのような危険がありますか。

スクワットのフォームでスイングをすると、多くの場合、膝が前に出すぎてしまい、また腰も反ってしまうため、それらの関節を痛めやすいです。肩にも負担がかかりますね。

更に言うと、腕と脚の力でケトルベルを持ち上げるようなフォームになるので、加速が出来ず、効果は弱まってしまうでしょう。

やはり正しいフォームで行うことが大事ですね。その他に、何か気をつけるべきことはありますか。

少し細かくなってしまうんですが、呼吸やセット間の身体のほぐし方も、ぜひ皆さんに知ってほしいです。
SFでは、これらをとても大切にしています。

例えば、呼吸を正しく行わないと、口が乾いてしまい、それだけでパフォーマンスが低下してしまいます。

また、身体のほぐし方を学べば、柔術のインターバル中のリカバリーにも、それを応用することが出来ると思います。

SFのトレーニング団体としての知見の深さが伺えます。
小野先生は、ご自身の整骨院でリハビリとしてもケトルベルを活用しているとお聞きしました。
怪我予防にも効果があるのでしょうか。

はい、ケトルベルトレーニングには、身体をリセットするという働きもあります。

例えばスイングを行う際、身体をしっかりと伸ばし、肩がすくみ上がらないように意識するなど、常に各部位が正しいポジションに位置するよう動作を繰り返します。

それにより、身体をニュートラルな状態に近付ける事が出来るのです。

多くのトップアスリートは、高いパフォーマンスを発揮するために、身体がその競技に特化した形に変化しています。
もちろん、それを正すことが競技にとって必ずしも良いとは言いきれませんが、その状態がずっと続くと、身体はいつか必ず壊れてしまいます。

柔術はとにかく身体を丸める動きが多いので、普段のデスクワークと相まって、腰痛を引き起こしてしまう人が多いです。

競技を長く続けるために、日々身体をニュートラルに戻すことはとても大事ですね。
回数やセット数はどのくらい行うのが適切ですか。

回数については、1セットにつき3〜5回ですね。私はめったに10回以上やりません。
なぜならば、フォームが正確ではなくなってしまうからです。
それを3〜5セット行うのが良いと思います。

まずは、とにかく正確なフォームで行うことを意識してください。
それが出来るようになったら、次にインターバルを短くする。
そのあとは、好きに回数とセットを増やしていったらいいと思います。

この記事を読んで、ケトルベルのイメージが変わる人も多いと思います。
日本でもこの素晴らしいトレーニングが広がると良いですね。
海外ではSFはメジャーな団体として広く認知されているのでしょうか。

はい。各国のオリンピック委員会には、SF関係者が多く居ます。
大学等などの研究機関と、トレーニングに関する共同研究を行っているのがSFの強みですね。

有名な所で言うと、10th Planet Jiu-JitsuはSFから直接ワークショップを受けており、トップインストラクターはインストラクター資格も取得しています。
また、総合格闘技の最高峰であるUFCとも関わりがあります。

多くのアスリートが取り入れているんですね。
柔術界でいうと、韓国は特に近年、ハイレベルな選手が多いですが、ケトルベルトレーニングも盛んなイメージです。

小野先生、本日は貴重なお話を沢山お聞きすることが出来ました。ありがとうございました。

こちらこそ、本日は貴重な機会をいただき、ありがとうございました。

皆さんにはぜひ、目的と方法論が逆にならないよう、がむしゃらに追い込むのではなく、正しくトレーニングを行っていただきたいです。あくまで競技が主目的で、それを強化するためのトレーニングですから。

これは私の若い頃の反省でもあります。
特にこれから続く方には、自分と同じ間違いをさせてはいけないな、と思いますね。

おの整骨院
院長: 小野 卓弥
埼玉県越谷市北越谷2-40-19
エトワールシャトー105号室

TEL & FAX: 048-971-4417
Mobile: 090-8055-0823
MAIL: ono-seikotsuin@nifty.com

【池袋】TFCお疲れさまでした!

By | 池袋 | 2025/03/15 | No Comments

3月9日(日)に5年ぶりにトライフォースチャレンジが開催され、池袋からは6名が出場しました。

皆さん練習中の技を積極的にトライする姿が伺えました。素晴らしかったです。

大取となる最後の試合はガクが務め、見事勝利!

対戦相手の浅草橋所属、寺島くんもガードワークが巧みで、とても良い選手でした。

ハル先生が医療班を担当しました。真剣な眼差しで試合をチェック。

無事、大きな怪我人が出ずに終わって良かったです!

MVPベストマッチ賞には池袋からガクが選出され、イサミ様からJiu-Jitsu Navi柔術着を頂きました。

ありがとうございます!

試合に挑戦する恐怖心や、負けた時の悔しさは、コンペティターである私もとてもよく分かります。
それを乗り越えて挑戦すること自体が、称賛に値することです。

そして大事なのはその人にとってのチャレンジであることだと思います。

そういった意味では私も皆さんも同じです。次の目標に向けて共に頑張りましょう!

動作の細分化

By | 池袋 | 2025/03/10 | No Comments

鈴木です。
最近は柔術だけでなく、英会話やケトルベルなど新しい分野のチャレンジもしています。
また、それによって気付かされることも多いです。

英会話では、「Hello」の発音をよく注意されます。ハローではなく、ヘロゥ。
アではなく、発音記号で言う “ə” の音になるのですが、私にはほとんど同じに聞こえます。
しかし、当然ネイティブはそれら二つを全く違う音として認識しています。

ケトルベルで混同しやすいのは、身体を起こす際の、「スクワット動作」と、「ヒンジ動作」の違いです。後者はデッドリフトを行う際に用いるフォームですが、やはりこの二つは全く異なる意味を持ちます。

柔術に当てはめて考えてみると、手を掴むときの「サムレスグリップ」と「レギュラーグリップ」、脚の使い方として「オープンベース」と「ツイスティングベース」が代表的な例でしょう。初心者がつまづきやすいポイントではありますが、私たちはそれらを、全く異なるシチュエーションで使い分けています。

こうして考えてみると、スポーツが上達するためには、動作をより細分化して考え、使い分けていくことが大事であると言えます。

もし柔術を技術的に向上させたいのであれば、私はテクニック検定の受験をオススメします。
自分が1つのテクニックをどれだけ細分化して考えることが出来ているのか、先生たちとの認識の違いを知ることが出来ます。

とはいえ、それらは段階的に学んでいくものなので、間違いを恐れる必要はありません。
皆さんも、もし私が「ハロー」と話しかけていても、暖かい目で見守ってください。

澤田伸大、鈴木和宏が世界最大のケトルベル団体、SFGインストラクター資格を取得!

By | お知らせ, 大阪, 池袋 | 2025/03/03 | No Comments

メイン講師のジョン先生

澤田伸大、鈴木和宏が世界最大のケトルベル団体、StrongFirstのインストラクター資格試験に合格しました。

日本人の有資格者は2025年3月現在11名で、日本人黒帯柔術家としては、初の取得となります!

@StrongFirst Japan

この資格試験は通称CERTと呼ばれ、3日間に渡って行われます。
初日と2日目は、朝8時から夕方6時まで講義の受講と実技練習を繰り返しました。

講義は、「なぜケトルベルトレーニングでなければならないのか」という話から始まり、理論をしっかりと学んだうえで実技に入ります。

実技では動作のエラーが出たポイントを、その都度ドリルで修正。
正しい動作を身に着けると同時に、インストラクターとしてエラーを修正する術も学んでいきました。

講義が進むにつれ、講師の皆さんを始めとするストロングファーストという団体の知識量と知見の深さに圧倒されます。
また、人を惹きつけるインストラクションに、柔術指導者としても大きな刺激を受けました。

講師のウーチェ先生(右)とアシスタントのムン先生(左)

講師のマシュー先生

ケトルベルは、ワークアウトではなく練習である。

その言葉の通り、正しく行うためには繊細な技術が求められます。
しかし、技術に傾倒するのではなく、講師や補助インストラクターの皆さんは強さも同時に追及されていることが分かります。

CERTの中では、追い込む場面も多くあり、2日目を終えた時点で半数以上の参加者は手の皮が剥がれ、疲労困憊の状態でした。

そして迎えた最終日、まずは基本6種目のスキルテストが行われました。チェック項目は各種目によって異なりますが、例えば最もベーシックなスイングでは、11個の技術要件すべてを満たさなければ合格となりません。

皆、緊張感を持って、真剣に取り組みました。

@StrongFirst Japan

無事、スキルテストをクリアした受験者には、最後にスナッチテストが課せられます。
ケトルベルを頭上に振り上げる「スナッチ」動作を、技術要件をクリアしたフォームで、5分間に100回行う必要があります。

無事、全ての試験をクリアすることが出来ました。

最後は、全員でケトルベルのサーキット。スナッチテスト後で既に限界の参加者もいましたが、みな食らいつきます。
開始から30分を過ぎ、ようやく終わりが告げられました。

@StrongFirst Japan

この3日間で非常に多くのことを学び、またケトルベルインストラクターとしても自覚も身に付きました。
ここがスタート地点として私たちも学び続けなければならないとも思います。

資格取得にあたってサポートしてくださったアシスタントの皆さんにも深く感謝いたします。

数年前から指導やアドバイスをしてくださっていた小野先生

通訳を担当してくださった宮城先生

アシスタントとして参加してくださった柔術家の荒井先生

トライフォース会員の皆さんにも、私たちが学んだ多くのことを還元していきたいと思います。

東京・大阪でセミナーやパーソナルレッスンが受講可能ですので、ぜひご連絡ください!

トライフォース大阪 Osaka
指導者:澤田 伸大 Nobuhiro Sawada
住所:大阪府大阪市中央区南本町2-4-16 デビスビル5階
TEL:06-4708-3150
Web: triforce-bjj.com/osaka

トライフォース池袋(本部)
Ikebukuro (Headquarters)
指導者:鈴木 和宏 Kazuhiro Suzuki
住所 : 東京都豊島区池袋2-62-1 PISO池袋1階
TEL : 03-6914-2947
Web : triforce-bjj.com/ikebukuro

エスケープ

By | 池袋 | 2023/11/18 | No Comments

この日のベーシッククラスはマウントポジションエスケープの展開。

不利な状態からのエスケープは、始めたばかりの人にとって使用頻度が多い重要なテクニックですね。

皆さんしっかりと学んでいました!

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