『スピードの3大原則』を読まれて、筋力と速さだけでなく、反応(反射神経)も、衰えやすいのではないか、そう思われた方も居ると思います。

そして「速さより早さ」が重要というならば、その早さに直結するのが反応ではないかと。私も以前はそのように考えていました。

しかし長く柔術を続けてきて確信しました。私の実感として、柔術に要求される反応は、あまり衰えません。

柔術における反応とは、相手と接触したところから、相手の体圧の変化や重心移動を感じ、そこに自分の技を合わせる、あるいは乗せることが主であるからです。

相手のパンチやキックをかわすとか、ボールを目で追うとか、弾丸をよけるとか、そういった反応が要求されるわけではありません。

タックルを切る速さなどはたしかに衰えたと思いますが、それも相手の初動、もっと言えば初動に入る前のわずかな所作を見切ることによって、ある程度のレベルで対処できます。

体に蓄積される経験則は、キャリアを重ねるごとに厚みを増すため、カウンター系の技などはむしろ精度が上がったとすら感じます。

これらは言語化が難しい領域ですが、船乗りが雲の色を見て、潮の香りを感じて、天候を予測するかのごとく、柔術の熟練の達人たちは、相手の気を読み、あるいは気を合わせて、それに反応し技を掛けているのだと思います。

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