「早川先生はトップでもボトムでもずっと動いていますがスタミナがすごいですね。疲れませんか?」と聞かれることがあります。そして「私はスタミナがないのでクローズドガードでガッチリ固めたまま終わります。」的な謙遜を述べて下さいます。
しかしこれは大きな誤解をされています。実はクローズドガードでガッチリ固める方が疲れますし、スタミナを消耗するのです。私は全然スタミナありません。
常に脱力して動き続け、フローを続けること、これこそが最も効率的にエネルギーを消費し、スタミナをロスしないための極意と言っても過言ではありません。少なくとも私にとっては。
クローズドガードやハイガード、あるいはモダン系のラバーガードやワームガードで、相手をガッチリと固めてジワジワ攻めている私を見たことがある会員さんはいるでしょうか?おそらくいないと思います。
膠着するからつまらないと思っているとかでは全くありません。クラスで教えていますし。私にとってそれらの技法は、十分なフィジカルとスタミナを持ち、強靭なグリップを持つアスリートのみに許される技法なのです。
試合時間中ずっと同じグリップを維持したり、クローズドガードで攻められる人を、むしろ私はすごいと思っています。
澤田なんかは大得意ですよね。まずサワダバーポジションを5分くらい維持できることが私には信じられません。私なら30秒で乳酸がたまってきて維持出来なくなります。強靭な肉体とメンタルを持つ澤田ならではの技法です。
あと私の場合、実際はそこまで動き続けていないです。休むところは休んでいます(笑)。例えば相手が動いている時には休んでいます。相手が動き疲れて休もうとした時にはこちらが動きます。それを繰り返しています。
休んでいると言っても体を静止させて休んでいるのとは少し違います。必要最低限のディフェンスやポジションメンテナンスを行っているイメージでしょうか。
また、お互いのボルテージが高まってハイスパット(必殺技の応酬)が生じることは避けています。逆に言えば競技会で勝ち抜く為には10分間のハイスパットに応じられるフィジカルとメンタルが求められます。今の私には無理です。
柔術家としてのトレーニングを長く続けると、その進化の過程で、誰しも自分にとって最適なスタイルというものが自ずと身につくものです。私にとっては今のスタイルが最もナチュラルな進化系であるということになります。